黒川伊保子『妻語を学ぶ』(幻冬社新書)
男性脳と女性脳では、脳力、もとい能力の特性が
そもそも異なる。
広い視点でゴールまでの道のりを合理的、
効率的に見つけようとする男性。
より近い視点できめ細やかに段階的にゴールに向かう、
プロセスを重視した女性。
著者は、プロセス重視=共感を求める女性の考えと、
それに気がつかない男性との考えの違い、
脳の違いによって発動される女性の発する言葉と
それに対する男性の望ましい答え方というストーリーを織り成していく。
著者は言う。
違うから好きになったはずなのに、違いにイライラする。
それなら、愛する人との関係を成熟させ、違いを楽しめる関係を作ろうと。
違いを楽しめるようになるには、一にも二にも共感である。
共感とは、言われなくてもやるという行動と、
相手のことを考えているという言葉のコラボによって、
具体化される。
それ故に女性に対して自発的に何を言うか、女性に聞かれたことに
どう返すかが肝要なので、本書は、察することができないニブイ男性には
必読書、ということになるか。
女性が愛する相手に求めるのは、公正公平な客観的な分析ではなく、
どこまでも自分の思いを受け止めてくれる、アンフェアな共感。
サプライズは、女性には逆効果、ということも多いらしい。
一読すれば、女性のリトマス試験紙が分かった、
ような気がする名著である。